- 2026.09.28
- VOL03
データセンター向けの送電線増強費用、私たち一般消費者も負担するの?
AI花盛りだ。産業の進化や研究・開発の高度化といった本来的なAIの活用のみならず、昨今では個人もAIを友人替わりにしたり、AIに悩み事を相談したりするらしい。前者はともかく、後者の使い方を見るに、「便利に弱い」、「孤独を受け入れられない」、「早く答えが欲しい」といった人間の特徴が顕著だ。これまで消費者レベルでの電力需要は、主に「便利さ」という価値を手に入れるためだったが、今やAIが個人消費者の孤独を癒したり、安心感を与えたりしている。そのAIの途方もない計算量を支えている電力は、「便利さ」という価値創出を超越しつつある。
そのAIの計算処理を行うのがデータセンター(DC)だ。AI普及と共にDCの計算処理能力は大幅な向上が求められている。それに伴ってDCによる電力消費も大幅に増加する。ざっと調べただけでも、2035年頃までにはDC1棟の電力消費は現時点の100~300倍が必要となるらしい。それだけでなく、そのレベルのDCが複数必要となるのだから、電力消費量の急増は容易に想像できる。
一般人の疑問は3つある。①電力は足りるのか?②発電所からDCまで電力を運ぶ送電網はあるのか?そして③もし増強する場合、そのコストはどれぐらいで、誰が負担するのか?
電力は地域ごとの独立した民間電力会社によって運営されているので、①~③の質問に対する答えは地域によって変わってくる。今後、AI用のDC需要を牽引するのは外資のハイパースケーラー、つまりAWS、Google Cloud, Microsoft Azure, IBM Cloudの様な大規模な計算処理能力やストレージ容量を提供するクラウドプロバイダーで、データセンターの立地面積の8割強は東京圏と大阪圏に集中 しているそうだ。単純に考えると、東京圏と大阪圏での電力需要は今後大幅に増加し、発電や送電設備の増強が必要になる可能性が高い、ということだろう。電力会社の投資は、我々の様な個人による電力消費者とオフィスビルや工場、病院、学校、その他の商業施設といった事業者の支払う電力料金によって賄われるが、AI用のDCが使用する電力を供給するための電力設備の増強に伴う費用も、従来と同様、我々の電力料金に上乗せされるのだろうか?と考えると少し、いや大いに違和感を感じる。この費用は前述のハイパースケーラーを含むDCを使用してAI計算処理を行う企業が使う電力を供給するためのものであるにも関わらず、現状では個人や企業がそれを負担するという構造になっている。
米国ではすでに議論になっていて、中間選挙を睨んだトランプ大統領はハイパースケーラーを含む米国のテック大手企業と「電力利用者保護誓約」なるものを結び、送電網増強の費用を国民負担とせず、DC事業者が負担すると定めた という。
さらにアメリカの下院エネルギー・商業委員会が、DCのエネルギーコストをテック企業に転嫁させる法案を全会一致で可決させたことが分かった という報道もある。100MW以上のDCを管理するテック企業と契約する電力会社に対し、電力供給に必要な発電・送電・配電設備にかかる費用全額を当該テック企業から回収するよう義務づけるもので、法案は賛成52:反対0の全会一致で可決された、とのことだ。どうやら私の違和感もそれほどはずれてはいないようだ。
日本のメディアでも本件について話題にする所も散見される。早晩議論が起こる可能性は極めて高いだろう。
終
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