- 2026.10.26
- VOL04
次世代電力システムってどういうこと?
<その1>分散型電力発電の課題とEV
電力の次世代化の大きなテーマの一つは「分散」、つまり、再生可能エネルギー、とりわけ太陽光が増えたことで、これまでの原子力や水力、火力発電所といった超大型の発電所で大量に発電し、それを広範な地域に送電し配電する、という電力流通システムとは異なるモデルが必要になった。原子力や水力、火力に比べれば、比較的小規模な分散型の発電所、特に太陽光発電は、文字通り「おてんと様次第」で、日が照れば発電するが、夜間や天候の悪い日には発電量が少ないか、あるいは発電しない。「発電しない」場合には、調整能力が高い火力発電で不足分を補っているので電気が点かないということはない。一方で、より困るのが消費する電力よりも多く発電してしまって、電力が余剰になる場合だ。
電力には「同時・同量」の法則があって、30分毎に需要と供給を合わせて流通させている。これが崩れると送電網に負荷がかかり不具合が起こる可能性がある。そうなると大規模停電を引き起こす可能性がある、というわけだ。日本の気象現象下では、春、特に5月や、秋、10-11月、日照時間もそこそこあり発電量は多いが、冷暖房の需要が低く、さらにゴールデンウィークやシルバーウィークで工場やビジネスの稼働が低いために需要が減少する時期が難関だ。地域的には、九州や四国、北陸、東北で太陽光発電による余剰電力の出力制御(太陽光で発電した電力を電力会社の送電網に流すことができない)が行われていたが、最近では関西や東京でも見られる様になってきた。すなわち発電した電力が電力会社に売る事ができず、余剰となって使われずに捨てられてしまうということだ。
日本にはエネルギー資源が足りないし、脱炭素化もしなければならない。そのための再生可能エネルギーなのに、どうも現代社会ではその再生可能エネルギーの生態をうまく使いこなす事ができていない様だ。その解はどこにあるのか?
一つは、再生可能エネルギーによる電力を送電網に戻さず(送電網に戻すことを「逆潮流」という)、周辺地域で活用するということだ。身近な例で言えば、自宅の屋根置きソーラーで発電し、昼間の電気で冷暖房やら冷蔵庫やら洗濯機やら電力を喰うものを動かす。それでも余剰になった電力は蓄電池に溜めておいて時間差で使うといった感じだ。すべて使いきれれば逆潮流を回避できる。それでも電気が余ったら、そう、EVチャージに使えると理想的だ。
少し地域を広げてみると、地域内の個々の家庭で消費する分を地域の太陽光発電所で賄える様になるのが最終カタチだが、そこには電力取引の決済が発生するため、そのための地域的な取引システムが必要になる。家庭での余剰電力を供給源として、電力需要がある別の家庭に売電するシステム、つまり「電力のメルカリ」だ。ここまで発展するにはもう少し時間が必要だが、しかしモノの売買がメルカリの様にP to Pでできるのであれば、電力の取引もできるのではないだろうか?問題は市場価格の形成をどう行うかだろう。これについてはまた別の回に考えてみるとして….
例えばEVチャージステーションの様な企業が運営する需要施設であればどうだろう。地域の太陽光発電所での余剰電力を大型の蓄電池に溜めておいて、それを近隣のEVチャージステーションに「配電」する、ということができる。さらにEVは動力が電気に代わるというだけでなく、それによって走る蓄電池となり、太陽光発電による余剰電力を柔軟に吸収し活用するデバイスとなる。
車を嗜好品とするか、必需品とするかによってガソリン車を選ぶかEVを選ぶかは様々だが、少なくとももし私が今、新車を買うならば、EVにするだろうなぁと思っている今日この頃である。
終